下伊那郡阿南町和合に約300年前から伝わるとされる「和合の念仏踊り」(国重要無形民俗文化財)が13日夜、始まった。新型コロナウイルス流行で観覧は2年連続で地元住民に限定。豊作を祈る力強い踊りの音が、山あいの集落に響き渡った。
午後8時すぎ、林松寺で「庭入り」が始まり、かさをかぶった素足の踊り手が輪になり、笛や太鼓の音に合わせてゆっくりと舞った。音のリズムが激しくなると、ささらと竹の棒を持った「ヒッチキ」(踊り手)が2人一組で、互いに躍動的に体をぶつけて跳びはねた。「ヤートーセ」。一帯に掛け声が響いた。
例年、3カ所を回るが、雨天のため、この日は林松寺の1カ所で実施した。踊りは16日夜まで4晩続く。ヒッチキを務めた長野高専1年の小掠正見(まさみ)さん(16)は「役目を果たせた」。平松三武(みつたけ)・保存会長(75)は「(大雨やコロナで)世の中が厳しい中、何とか形にできた」と話した。