〈自動車博物館で展示〉
〈東大がレース仕様に改造〉
来年1月に開催される欧州の国際的なラリー大会「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」に、日本自動車博物館(小松市)で展示されている旧車のトヨタ・セリカが参戦する。東大チームが車両を借り受けてレース仕様に改造し、7日間で約3千キロを走破する過酷な大会に挑む。四半世紀にわたり博物館で展示されてきた旧車が欧州を舞台に疾走する。
車両は1975(昭和50)年製の「セリカ1600GTV TA22」でマニュアル式の緑色の車体。クーペ型の乗用車で、95年に日本自動車博物館が小松に移転した当時から展示していた。
旧車を改造してレースに出場する東大のプロジェクトは2010年、工学部と大学院工学系研究科の授業として始まった。機械工学を専門とする東大大学院ダイレクタの●加浩平さん(67)(●は草の異字体)が指導し、学部、学科の垣根を越えて毎年新しいチームを組む。部品の入手や加工も行い、設計、製作を学ぶ場となっている。
今年度は学生と院生11人、自動車整備士などを育成する専門学校「ホンダテクニカルカレッジ関東」(埼玉県ふじみ野市)の生徒17人が参加している。
大会は来年1月27日~2月2日に行われ、東大チームはフランス・ランスを出発点にレースに臨む予定だ。経験豊富なドライバーが運転し、学生は現地で車両の整備や支援を行う。
3月に同博物館に車両を取りに来た●加さんは「すごくきれいで良い状態。最高成績の42位を超えられるよう学生と頑張りたい」と話した。博物館の前田智嗣館長は「プロジェクトを通じて若い人に車の良さを知ってほしい」と期待した。
★ラリー・モンテカルロ・ヒストリック 国際的なモーターレースの大会「ラリー・モンテカルロ」から派生し、1997年に始まったヒストリックカー(旧車)のレース大会。数日間掛けて、モナコを中心に欧州を3千キロ以上走破する。出場できるのは55~80年にラリー・モンテカルロに参戦し、国際自動車連盟が発行するヒストリックカー証明書を有している車両となる。来年の大会には世界各国から250チームが集う。