焙煎したスリランカ産のコーヒー豆を見つめる北山さん

焙煎したスリランカ産のコーヒー豆を見つめる北山さん

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幻のコーヒーで農家支援 黒部の自家焙煎店、スリランカの豆製品化

北日本新聞(2021年9月6日)

 富山県黒部市荻生の自家焙煎(ばいせん)コーヒー店「水の時計」が、関東の貿易業者と連携し、スリランカ産の豆を製品化した。独特の香りと味わいのある豆は、植民地政策に翻弄(ほんろう)された歴史を持ち、現地でも希少な「幻のコーヒー」だという。代表の北山晃さん(52)は「農家を支援し、世界に広めたい」と話している。

 「水の時計」は黒部の名水を生かして、世界各国の豆を焙煎している。千葉県に住み、貿易業を営むスリランカ人の男性と今年3月に出会ったことが、現地の豆を深く知るきっかけになった。

 スリランカは英国の支配下にあった19世紀、輸出用にコーヒー豆を盛んに作っていた。しかし英国での紅茶の普及に伴い、セイロンティーの栽培へと切り替わっていった。現在は山岳地帯の農家がほそぼそと生産している。

 北山さんは、貿易業の男性から「母国の農園を拡充し、雇用をつくりたい」という思いを聞き、その夢の実現に協力することにした。ハーブやスパイスのような力強い香りがあり、人気を集める可能性も感じたという。

 4月から試行錯誤を重ねた末、8月上旬から水の時計で豆の販売を始めた。店内ではそのコーヒーも味わえる。日本国内やスリランカで流通させる取り組みも始まっている。

 今後は、生産者に適正な対価を支払う仕組みを保ちつつ、農園を広げていきたい考えだ。北山さんは「歴史があり、味わいにも特徴がある。栽培指導などで関わり続け、一大産業に発展する手助けができるといい」と語った。

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