平家物語絵巻に描かれた壇の浦の合戦の場面を鑑賞する来場者=10月9日、福井県福井市立郷土歴史博物館

平家物語絵巻に描かれた壇の浦の合戦の場面を鑑賞する来場者=10月9日、福井県福井市立郷土歴史博物館

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平家物語絵巻36巻、福井に「里帰り展」 かつて越前松平家が所有

福井新聞(2021年10月11日)

 かつて越前松平家が所有した林原美術館(岡山県)所蔵の平家物語絵巻の里帰り展「帰ってきた平家物語絵巻」(福井新聞社共催)が10月9日、福井県福井市立郷土歴史博物館で開幕した。絵巻に繰り広げられる平家の栄華と滅亡に至る名場面の数々が歴史ファンの目をくぎ付けにしている。

 平家物語の全文章を収めた唯一の絵巻物。全36巻で705場面、約千メートルに及ぶ。金銀泥で彩った装丁で大名家が所有するにふさわしい名品だが、昭和初期に松平家の手を離れた。

 このうち15巻が展覧会に里帰りした。太政大臣に上り詰めた平清盛の下で「平家にあらずんば人にあらず」とうたわれた一門。その陰で不遇をかこつ後白河法皇の子以仁(もちひと)王による挙兵と、それに呼応した源氏の攻勢によって滅亡に追いやられる盛者必衰のストーリーが細密な絵と詞書で表されている。

 やせ衰えた清盛の逝去の場面が印象に残ったという永平寺町の男性は「滅びゆく姿に美しささえ感じさせる描き方。作者がどんな思いを込めたのか、想像力がかき立てられる」と話していた。

 絵巻が松平家所有だったことを裏付ける福井藩主の所蔵品一覧「道具帳」や、絵巻を収納する金蒔絵(まきえ)を施した豪勢な箪笥、一の谷や屋島の合戦図屏風も並ぶ。会期は11月23日まで。

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