伊那市ますみケ丘の農産物直売所「産直市場グリーンファーム」で、今秋も蜂の子を採取するための蜂の巣が店頭にずらりと並んでいる。今年は「豊作」で、最盛期のここ数日は平年の2倍近い15キロほどが連日持ち込まれている。「例年より手頃な値段なので、ぜひ手に取ってほしい」と担当者は話している。
伊那谷では、「地蜂」と呼ばれるクロスズメバチの巣を探す「すがれ追い」が伝統的に行われている。同直売所には、上伊那地域や諏訪地域の愛好家が持ち込む直径10~30センチほどの蜂の巣が9月中旬から10月末にかけて並ぶ。価格は1キロ6千円前後。
蜂の子はタンパク質が豊富で、甘露煮などに調理される。三重県からマツタケを目当てに訪れた田村史郎さん(76)は、売られている蜂の巣を初めて見たといい、「信州の食文化はすごい」と驚いていた。