ネズミやウシ、トラなどの石像を見つめる石附さん

ネズミやウシ、トラなどの石像を見つめる石附さん

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愛らしい十二支の石像 砺波市の美術館で作品展

北日本新聞(2021年10月14日)

 砺波市八十歩の元石工職人、石附(いしづき)祐嗣さん(91)は、約60年の職人生活で培った石材加工のノウハウを生かし、十二支の愛らしい石像を作った。繊細な出来栄えが水本一太郎石像彫刻美術館(同市庄川町金屋)の関係者の目に留まり、同館で今月から作品を展示している。石附さんにとって初の作品展で、「見てもらえる機会ができてうれしい。石工の技術を間近で見てほしい」と話している。

 石附さんは祖父の代から続く家業を継ぎ、19歳で職人になった。庄川沿いで多く見られる石積み法「亀甲(きっこう)積み」の第一人者として、神社や個人宅の石垣を作り、水路の護岸工事などに携わった。

 手を痛めたのを機に80歳を前に引退。空いた時間の楽しみとして石像作りを始めた。のみを使い、毎年のえとに合わせた動物を制作。ネズミから作り始め、2年前にイノシシが完成して十二支がそろった。細かい作業に苦戦しながらも、これまで100体近くを仕上げた。

 自宅の庭に飾ったり知人に譲ったりしていたが、水本一太郎石像彫刻美術館の松村優館長が展示会を開いて繊細な技術を多くの人に見てもらいたいと声を掛けた。

 十二支のほか、「見ざる言わざる聞かざる」の三猿の石像など計40点を展示。高さ20~50センチほどで、いずれも細部まで丁寧に彫り上げてある。ビー玉を入れたつぶらな瞳と穏やかな表情が、訪れた人の心を和ませている。

 石附さんによると、同市八十歩を含む東般若地区には、かつて40人の石工職人がいたが、現在はコンクリートの普及や高齢化などで数人にまで減少。「展示を通じて、砺波ならではの亀甲積みのことも知ってもらえたらいい」と話している。

 作品展は来年4月3日まで。開館時間は午前10時~午後4時で、金曜休館。

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