芸歴60年の節目を迎えた長沼さん(中央)。芸名を授与した教室生と11月に記念公演を開く=福井県坂井市三国町北本町4丁目の「江戸小唄 竹よし」

芸歴60年の節目を迎えた長沼さん(中央)。芸名を授与した教室生と11月に記念公演を開く=福井県坂井市三国町北本町4丁目の「江戸小唄 竹よし」

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芸歴60年つなぐ長唄、三味線 11月3日に坂井市で記念公演

福井新聞(2021年10月15日)

 芸歴60年を迎えた長唄、三味線奏者の長沼(芸名・芳村竹世志(たけよし))さん(83)と、長沼さんが芸名を授与した門下生10人による記念公演「江戸の粋(いき)」が11月3日、福井県坂井市の旧森田銀行本店で開かれる。長沼さんは「心を一つに、三国に息づく伝統芸能の魅力を伝えたい」と本番に挑む。

 東京生まれの長沼さんは幼少期に三国に疎開。江戸時代に北前船で栄え、遊郭街として名をはせた花街近くに嫁いだ。そこで芸者の三味線の音色に魅せられ、23歳から三味線を習い始めた。1973年には人間国宝の故芳村伊十郎氏から芸名を授かり、江戸小唄家元の市丸にも指導を受けた。

 50年前に三味線教室「竹世志会」を立ち上げ、これまで150人の弟子を育成。子どもたちに「三国節」を指導するなど精力的に活動し、2017年には芸術文化に長く従事し地域振興に貢献したとして「東久邇宮(ひがしくにのみや)文化褒賞」を受けた。

11月の公演は芸歴60年の中で、坂井市丸岡町の林田さん、福井市の坂口さんら「竹世志」の芸名を授与し、その数が計10人と節目になったことから企画した。

 「一人前になってほしい」との思いで指導してきたと振り返る長沼さん。「皆さんけいこに熱心で技術も高い。三国の歴史を物語る伝統芸能を継承していく気概のある方々ばかり。大変誇りに思う」と語る。

 地元三国の松本さんと松井さんは3月に芸名を授かった。旧市街地のきたまえ通りには三味線体験もできる長沼さんの教室「江戸小唄 竹よし」があり、2人は「先生の艶っぽく、情緒ある音に近づきたい」と日々練習を続ける。

 公演は「越後獅子」「連獅子」「千代の寿」といった長唄のほか、庶民のはやり歌として親しまれた「江戸小唄」などを披露する。長沼さんは「花街の粋な文化を身近に感じてほしい」と来場を呼び掛け、「まだまだ頑張りますよ」と笑みを見せた。

 午後4時から、入場無料。問い合わせは長沼さん=電話090(4686)8108。

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