大拙の思想に思いをはせ、節目を祝う参加者=金沢市本多町3丁目の鈴木大拙館

大拙の思想に思いをはせ、節目を祝う参加者=金沢市本多町3丁目の鈴木大拙館

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鈴木大拙館 開館10周年で記念茶会

北國新聞(2021年10月19日)

 金沢出身の世界的な仏教哲学者、鈴木大拙の足跡を伝える鈴木大拙館(金沢市本多町3丁目)は18日、開館から10周年を迎えた。金沢経済同友会の提言を受けて建設が具体化し、大拙の生誕地近くにできた同館はふるさとの偉人への理解を深める思索の拠点となってきた。記念茶会「『和(やわらぎ)』の世界」(北國新聞社後援)も同日開かれ、参加者は節目をことほぐ一服を堪能した。

  〈入館者50万人を突破〉

 鈴木大拙館の建設は金沢経済同友会が2005年の定時総会で提言し、当時の山出保市長が08年に同友会との意見交換会で整備する方針を示した。金沢ゆかりの国際的建築家である谷口吉生氏が設計を手掛けた同館は、建物自体の評価も高く、まちなかの金沢を代表する建築物となっている。今年1月に入館者数が50万人に上った。

 茶会では、茶道裏千家今(こん)日庵業躰(にちあんぎょうてい)の奈良宗久さん(52)が亭主を務め、大拙と親交のあった茶道裏千家前家元の千玄室氏(98)を正客に迎えた。

  〈「思索空間」に立礼席〉

 水鏡の庭に囲まれた「思索空間」に設けた立礼席では千氏が茶会のために手掛けた軸「茶禅同一味(ちゃぜんどういちみ)」や大拙の書「玅用(みょうゆう)」を掲げた。菓子は水面に映る月を表した「水月」を用意した。

 大拙は著書「禅と日本文化」の中で、茶は自然と一つになりたい憧れの美的表現であるとしている。茶会の名称は大拙が茶の湯の精神を「和らぎ」と表現する一節になぞらえた。

 奈良さんは「大拙の思想は現代に通じる。茶とともに言葉一つ一つの重みを味わってほしい」と語った。

 茶会の特別席には、山野之義金沢市長、鈴木大拙館整備検討懇話会座長の浅見洋石川県西田幾多郎記念哲学館長、同会委員で当時、金沢経済同友会代表幹事を務めた飛田秀一北國新聞社会長、同会委員の松田章一前鈴木大拙館長が招待された。このほか、裏千家石川支部の小田●(●は衣へんに貞)彦支部長と岡能久副支部長、角谷修金沢美大教授、吉藤徹北陸放送社長、太田敏明金沢文化振興財団理事長が出席した。

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