いしかわ動物園(能美市)で国特別天然記念物トキを展示飼育する「トキ里山館」が19日、開館から丸5年を迎える。館前では3日、節目を記念したトキの砂像づくりが始まった。千里浜砂像協会(羽咋市)の古永健雄さん(51)=羽咋市千路町=が手掛ける像で、かつての生息地である羽咋の砂を使って節目を祝い、石川の空に放鳥される日が来ることを願う。
砂像は幅100センチ、高さ100センチ、奥行き60センチ。里山の空を羽ばたくトキと、棚田にたたずむトキを表現する。
古永さんは、トキの生息地だった羽咋の眉丈山の近くで育った。生まれた頃には既に能登の空にトキはいなくなっていたが、ふるさとを象徴する鳥として親しんできたという。
いしかわ動物園で一度、砂像を展示してみたいという希望もあり、里山館の5周年に合わせて制作を申し出たところ、園側の快諾を得た。この日は開園前に羽咋から200キロの砂を運び入れ、制作に着手。羽根の重なりをひと筋ひと筋、丁寧に削り出す細やかな作業はすぐに来園者の注目を集めた。
里山館は、分散飼育が進むトキを間近に観察できる展示施設として2016年11月19日にオープンした。日本の里山の風景を再現した展示空間で人気を集めており、現在はいしかわ動物園で飼育する9羽のうち4羽が公開されている。
園では10年に分散飼育を受け入れてからこれまでに計79羽の繁殖に成功。75羽を新潟の佐渡に送った。
古永さんは佐渡以外でも放鳥が進むことを望み「能登や石川の空を羽ばたく姿を見たい。そんな気持ち込めて砂像を仕上げる」と話した。砂像は7日までに完成する予定で、園はしばらくの間、展示する。