江戸時代の佐渡金銀山の名物だったとされる料理「芋汁鯛」にヒントを得たメニューの提供が、新潟県佐渡市小木地区の飲食店で始まった。マダイと自然薯(じねんじょ)、コシヒカリは全て佐渡産を使用。地産地消の料理で、新型コロナウイルス収束後の観光客にアピールしたい考えだ。
芋汁鯛は、1785(天明5)年に発行された鯛料理のレシピ本「鯛百珍料理秘密箱」に掲載されている。酒やしょうゆで味を付けたタイにとろろ汁をかけた料理で、佐渡の金山の茶屋で労働者たちが食べたと書かれている。
感染禍で飲食店の売り上げが落ちる中、昨年秋から小木地区の飲食店の有志が新メニュー作りを企画。冷凍保存したものも含め年間を通したマダイの活用法を考えていたところ、芋汁鯛の存在を知り、復活させようと考えた。「小木地区地産地消のまちづくり推進協議会」を立ち上げ、市や佐渡漁協小木支所、大崎自然薯生産組合などが協力した。
「佐渡芋汁鯛御膳」と銘打ち、小木地区の4店舗で提供する。自然薯のとろろ汁と白米、マダイを使ったメイン料理と汁物のセットで、内容は各店舗が自由に設定する。価格は1650円。
10月27日には小木町のマリンプラザ小木で、関係者を招いた完成発表会が開かれた。4店の御膳が用意され、刺し身や煮物、フライなど、それぞれの店が工夫を凝らした鯛料理が並んだ。
渡辺竜五市長らが試食し、「芋の味が濃くて良い」「旅行に来た人に楽しんでもらえそう」などと感想を述べた。江戸時代の装いをした人足も登場し、完成を盛り上げた。
協議会の吉川知宏会長(45)は「ウイルス禍の中、喜んでもらえるものを集まって考えた。マダイは高級なイメージもあるが、手軽に楽しんでもらいたい」と話している。
提供店舗は、まつはま(小木町)、かっさい(同)、花の木(宿根木)、よしかわ屋(同)。各店舗への事前予約が必要。問い合わせは各店舗か南佐渡観光案内所、0259(86)3200。