魚津市の古民家に滞在し、県美術館のレストラン「BiBiBi&JURULi(ビビビとジュルリ)」に飾るアート作品を制作してきた美術家の安野谷(あのたに)昌穂さん(30)=兵庫=が26日、同店で富山の風土を表現した壁画など8点を発表した。6月から毎月1、2週間古民家で生活し、県内の歴史や文化を学びながら創作してきた。完成した作品を前に「富山で受けたインスピレーションを凝縮した作品になった」と語った。
安野谷さんは京都精華大在学中、オランダで現代美術を学んだ。服飾ブランドと共同で商品のデザインを手掛けるなど国内外で活動している。
作家の目線で新たな富山を発信しようと同店を運営する「富山とイート」(富山市安住町)がキュレーターの丹原健翔さん(29)=東京=を通じて安野谷さんに依頼した。
作品は壁画と壁掛けのラグ、天井からつるして飾るモビールの3種類。壁画は立山曼荼羅(まんだら)などから着想を得た。自然の恵みを受けて、古くから脈々と営まれてきた人々の暮らしを表現した。モビールには県内のリサイクルショップで集めてきた欄間の一部などを活用した。
丹原さんは「富山で手に入った材料を生かしたアートは、地産地消をコンセプトにしているレストランともマッチしている」と話した。
作品のお披露目会が同店であり、運営会社の青井茂代表取締役は「富山の魅力を新しい視点であぶり出した作品が集結した空間になった」と述べた。