加山又造さんの作品が常設展示されたギャラリー。11日からは県内外の工芸作家の作品も並ぶ=高岡市福岡町福岡新

加山又造さんの作品が常設展示されたギャラリー。11日からは県内外の工芸作家の作品も並ぶ=高岡市福岡町福岡新

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ギャラリー無料公開 高岡でイセ文化財団

北日本新聞(2022年1月5日)

 世界的な美術品コレクターとして知られる伊勢彦信さん(92)=高岡市=が代表理事を務めるイセ文化財団(東京)は11日から、同市福岡町のグループ会社内にあるギャラリーで、県内外の作家の名品を集めた展覧会を開く。新型コロナウイルス禍で美術展の中止や延期が相次ぐ中、芸術に触れる場を提供しようと入場無料で公開する。ホールを活用した個展も計画しており、伊勢さんは「新たな文化の発信地にしたい」と語る。

 ギャラリーは2019年に新築したイセ食品富山事務所の1階にある。伊勢さんが長年収集してきた近現代を代表する日本画家、故加山又造さんの作品10点を常設展示しているが、これまで観覧は招待者に限定していた。

 11日に開幕する企画展「工芸の美―金属と漆―展」は、加山さんの代表作とされる四曲一双屏風(びょうぶ)「月光波濤(げっこうはとう)図」(1979年)などと共に、県内外の金工、漆芸作家27人の約70点を紹介する。

 出品する鋳金家、般若泰樹さん(49)=高岡市=は「コロナ禍で作品を展示する場が減る中、貴重な機会を与えてもらえてありがたい」と言う。

 2月下旬からは隣接する建物のホールで、県内作家の選抜展を開く。初回は洋画家、能島芳史さん(73)=富山市=が中世ヨーロッパで発展したフランドル技法で描いた130号の大作など約10点を飾る。

 会場にはデンマークの建築家アルネ・ヤコブセンさんらが手掛けた椅子90脚や、世界最高峰のピアノ「スタインウェイ」などが置かれている。昨年末に下見した能島さんは「数々の名品が並ぶ美しい空間で、自分の作品がどんなふうに見えるか楽しみにしている」と話した。

 個展は3カ月ごとに作家を変え、絵画だけでなく、ガラス造形などさまざまなジャンルを取り上げる。伊勢さんは「コロナ禍が長引く中、人々の心を癒やせる空間になると思う」と期待した。

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