節分を前に、福井県敦賀市の菓子店で大豆を使った伝統菓子「豆らくがん」の製造がピークを迎えている。敦賀を代表するお多福の形をした縁起物の菓子。素朴な味わいと食べ応えのある硬さが特徴で、同市昭和町2丁目の菓子店「銘菓処笑福堂」では1月27日、職人が製造に追われていた。
同店によると、豆らくがんが生まれたのは江戸末期。北前船で敦賀に陸揚げされた大豆を使い、気比神宮の祭神・神功皇后をイメージして作られたのが起源とされているという。現在は市内のいくつかの菓子店が製造している。
同店では年間を通して販売しているが、最も売れるのは節分前。1月下旬から2月初めが製造の最盛期で、毎日3千~6千個ほどを手作り。粗びきした大豆と砂糖を混ぜた生地を型に押して成形し、乾燥した後に焼き上げる。この日も職人2人が普段の60倍の約6千個をてきぱきと作っていた。
硬さや食感を統一するため、温度や湿度に合わせた原料の配分の変更が必要で、製造には高い技術が求められる。縁起物である以上、傷が付いたり、欠けたりしないように細心の注意を払っているという。
同店では店舗販売のほか、ネットを通じて全国にも発送している。製造本部長は「豆らくがんになじみが深い敦賀の人にはもちろん召し上がっていただきたいし、まだ食べたことがない人も、昔ながらの懐かしい味わいを楽しんでほしい」と話していた。
同店は不定休。店頭では8個入り540円(税込み)で販売していて、15、20、30個入りもある。問い合わせは同店=電話0770(22)4747。