新潟県佐渡市の五つの酒造会社が、日本酒を通して佐渡の魅力を伝え、島の農業にも注目してもらいたいと共同事業「佐渡五醸」を始めた。第1弾として同じ佐渡産酒米「越淡麗」を使った、それぞれ味わいの異なる純米吟醸酒を造り、クラウドファンディング(CF)で先行販売している。
事業は天領盃、加藤、逸見、尾畑、北雪の蔵元5社が協力。人口減少などで1次産業である農業の担い手が減る中、佐渡の多様な自然や世界農業遺産にも登録されている農業に注目してもらいたい思いがある。5社による共同事業は初めて。
完成した日本酒は、「通常よりもアルコール度数が低く、飲みやすくすっきりとした味わい」(天領盃酒造)、「辛口でうま味と香りのバランスがよく、冷酒でも熱かんでも楽しめる」(北雪酒造)など、それぞれの個性が出ている。
各蔵の酒造りへの思いや、共同事業のストーリーも伝えたいと、CFサイト「Makuake(マクアケ)」で先行販売している。CFの目標金額は30万円にしたところ、3日間で300万円近くを集め、予想を大幅に上回る反響に関係者も驚いている。
同市河原田諏訪町のホステルパーチで6日に行われた記者会見には、各酒蔵の代表が出席。それぞれの日本酒の特徴などを説明した。
逸見酒造の代表で、佐渡酒造協会の逸見明正会長(53)は「五つの酒蔵の個性ある日本酒を飲み比べ、佐渡の多様さを感じてほしい」とPRした。
一般販売は4月以降の予定。CFの結果を受けて、今後の取り組みを考えていくとしている。