新潟県上越市の杉田味噌(みそ)醸造場は、約100年前からみその仕込みに使用し、昨年10月に"引退"した木桶(おけ)を高田本町商店街の店舗前に展示している。同社は「地域の人々にも見て、触ってほしい」としている。
今月1日にお目見えした木桶は、三和区にある工場で100年ほど使われていたもの。杉田貴子専務が「みそ造りは職人と木桶との共同作業。長年頑張ってくれた桶にも、日の目を見てほしい」と、展示した。
木桶は高さ約170センチ、直径は約130センチ。展示用に縦に半分に切られ、店舗の入り口脇に設置されている。近づくとほんのりとみその香りが漂い、触れれば長い年月を経た木材の感触が楽しめる。
現在同社の工場には12基の木桶があり、そのうち6基で仕込みをしている。木桶でのみその仕込みは、温度の管理などが難しく、全国でも珍しい。巨大な木桶を製造できる職人も、今や大阪府にしかおらず、国内でも貴重な存在だ。
杉田専務は「高田本町商店街は『百年商店街』と呼ばれているが、それを証明する物の一つ。歴史を感じてもらえたら」と話している。