営巣用の塔の上に止まったコウノトリのつがい=19日、津幡町の河北潟干拓地(坂本さん撮影)

営巣用の塔の上に止まったコウノトリのつがい=19日、津幡町の河北潟干拓地(坂本さん撮影)

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河北潟に「愛の巣」 コウノトリ塔設置実る 県内初の野外繁殖期待

北國新聞(2022年2月26日)

 河北潟干拓地で25日までに、国特別天然記念物コウノトリのつがいが巣作りを始めていることが初めて確認された。河北潟干拓土地改良区(津幡町)が昨年3月に設けた営巣用の塔の上で、木の枝を運び込んだり、交尾行動をしたりしている。コウノトリは国内に約250羽しか生息しておらず、関係者は希少な鳥による県内初の野外繁殖に期待している。

 北國写真連盟会員の坂本茂吉さん(71)=津幡町清水=が19日午前11時ごろ、高さ12・5メートルの巣塔の上で交尾行動するつがいを望遠レンズで撮影した。河北潟に野鳥の撮影でよく足を運んでいる坂本さんは「無事に卵が産まれ、津幡に幸せが来てくれるとうれしいね」と笑顔を見せた。

 土地改良区や全国各地で繁殖、保護に取り組む日本コウノトリの会(兵庫県豊岡市)によると、つがいは2019年に豊岡市で生まれた雌と、中国や韓国から来た可能性のある野生の雄だという。

 河北潟周辺では19年からコウノトリが目撃されている。農薬の使われていない田んぼに飛来することが多いとされ、土地改良区はコウノトリを通じて自然の豊かさをアピールできるとして、日本コウノトリの会の協力を得て巣塔を建てた。最上部には巣作りのスペースとなる直径1・6メートルの台が設けられている。

 土地改良区によると、昨年も巣塔の上に雄と雌が止まり、交尾行動の様子も見られたが、営巣には至らなかった。

 コウノトリは2~4月に卵を産み、ふ化後、60日から80日ほどで巣立つ。繁殖に向けてコウノトリを刺激しないよう、土地改良区は22日から塔周辺の農道約600メートルで一般車両の進入を禁止にし、看板を設けた。河上孝光事務局長は「落ち着いて繁殖できるよう、見学の際は巣塔から最低150メートルは離れ、静かに見守ってほしい」と話した。

 ★コウノトリ 日本や韓国、台湾、中国を越冬地とするコウノトリ目コウノトリ科の鳥で、体高は約1メートル、両翼を広げた大きさは約2メートルに達する。狩猟による乱獲、水田への農薬や化学肥料の投入による餌の減少などにより生息数が激減し、国の特別天然記念物、絶滅危惧種に指定されている。兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)によると、国内の野外で生息する個体数は253羽(1月末現在)となっている。

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