輪島市の輪島塗技術保存会が5年がかりで制作した輪島塗の大型地球儀の完成披露式典は5日、同市の県輪島漆芸美術館で行われた。「夜景」をテーマに輪島が誇る漆芸作家と職人の技術の粋を集めた大作で、出席者約40人が伝統の技をアピールする作品の誕生を祝った。
作品名は「夜の地球 Earth at Night」で、直径1メートル。黒漆に蒔絵(まきえ)や沈金を施し、世界各都市の明かりを表現した。美術館エントランスホールに常設され、会場には東京、北京、ロンドン、ニューヨークの4都市の夜景をモチーフにした蒔絵パネルも展示した。
市が輪島塗技術保存会に制作を委託し、2017年から、木地、髹漆(きゅうしつ)、呂色(ろいろ)、蒔絵、沈金の職人や作家計37人が作業に当たった。
式では梶文秋市長が「わが町の誇りとなる作品だ。末永く人々を魅了してほしい」とあいさつし、制作に携わった山崎剛金沢美大学長に感謝状を手渡した。保存会長で髹漆人間国宝の小森邦衞氏は「熟練の技術者でも新たな学びを経験した。多くの財産となった」と胸を張った。