ガリ版の技術を用いた助田さんの版画展=福井県越前市新在家町の紙の文化博物館

ガリ版の技術を用いた助田さんの版画展=福井県越前市新在家町の紙の文化博物館

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福井唯一のガリ版職人の版画展 越前市で4月18日まで、熟練技に触れて

福井新聞(2022年3月15日)

 通称「ガリ版」と呼ばれる簡易印刷機「謄写版」の福井県内唯一の職人で、昨年引退した助田さんの版画展が、越前市新在家町の紙の文化博物館で開かれている。ガリ版技術を用いて繊細に彫った「孔版画」や、助田さん愛用の仕事道具など約80点を展示している。4月18日まで。

 ガリ版は明治時代に普及した簡易印刷機。ろうで表面加工した和紙に鉄筆で文字や絵柄を描くことで和紙に細微な穴が開き、その穴からインクや絵の具を押し出して印刷する。

 助田さんは40年ほど前、父親を継いで謄写版職人となった。私家本や歌集などの制作依頼を受ける傍ら、父親が趣味で描いていた水彩画を孔版画にする作業を続けてきた。体力面の不安のため、昨年いっぱいで職人としての活動を終えた。

 画材の一部に越前和紙を使っていた縁から、同博物館が助田さんの作品展を企画した。ヤマユリやカタクリ、ツバキなど父親が描いた植物が、助田さんの繊細な技術で版画化されている。版を重ねることで実の濃淡や葉脈などを細やかに表現、技術の高さが感じられる。会場では一部作品の販売もしている。

 ガリ版の広報活動などを行う団体「新ガリ版ネットワーク」(滋賀県)によると、全国でガリ版の職人は4、5人のみという。担当者は「助田さんの高い技術力は有名。草花の繊細な色や線をガリ版で表現できるのは助田さんならではの技だった」と話していた。

 入館料200円(高校生以下無料)。問い合わせは同館=電話0778(42)0016。

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