石川県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の漁期が２０日、最終日を迎え、今季から設けられた最高級ブランド「輝（かがやき）」の水揚げはシーズンを通して９匹にとどまった。県漁協は「本当に会えるのか？」の宣伝文句で１００匹を見込んでいたが１割にも満たず、漁業関係者からは厳格な認定基準の見直しを求める声もある。一方、小売店からは「厳しくなければブランドとは言えない」と基準を支持する意見が聞かれた。

　県底曳網漁業連合会の橋本勝寿会長（６１）は「大きさや重さを満たしても、少しでも傷があれば認定しなかった」と輝の数が少なかった理由を説明。「基準が厳しすぎるとの意見は聞いている。今季は途中で変えなかったが、来季は見直すかもしれない」と述べた。

　　●知名度は向上

　加能ガニの知名度向上には効果があった。橋本会長が運営委員長を務める県漁協加賀支所では、最盛期の１１～１２月にキロ単価が例年の３～４割増しとなった。

　２０日は近江町市場にも加能ガニを求めて大勢の客が訪れた。市場内の鮮魚店「大口水産」では今季、加能ガニのインターネット注文が過去最高となり、荒木優専務（６１）は「最初の輝に５００万円の値がついてから注文が伸びた。売る側としては価値があるほうが紹介しやすく、認定基準を緩めないでほしい」と話した。

　県水産総合センターによると、県内主要１０港の昨年１１月～今年２月の加能ガニの水揚げ量は１１３・８トンで、前年同期（１４５・５トン）の８割程度にとどまった。

　★輝（かがやき）　石川県漁協が認定する県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の最高級ブランド。▽重量１．５キロ以上▽甲羅の幅１４．５センチ以上▽全ての脚がそろっている▽甲羅が硬く、身入りが良い－などの厳格な基準がある。昨年１１月６日の解禁初日には水揚げされた２万９５２０匹のうち認定を受けたのは１匹で、ギネス世界記録と同額の５００万円の競り値がついた。