輪島市名舟町に伝わる県無形民俗文化財「御陣乗太鼓」の保存会員は28日、演奏時に着ける仮面の髪となる海藻の付け替えを行った。近くの海で自ら採った海藻を用いるのが伝統で、作業を終えた会員は「今年こそはコロナが収まり、多くの人に渾身(こんしん)の演奏を見てもらいたい」と力を込めた。
作業は毎年、公演が本格化する前の3月下旬から4月上旬に行う。名舟町の沿岸に自生し、地元で「シゲ」と呼ばれる海藻を使用。幅数ミリほどの細長い葉が特徴で、陰干しにした後に束ね、髪に見立てる。
保存会事務局長の北岡周治さん(64)は、約280年前に作られたと伝わる「夜叉(やしゃ)面」に、約2週間前に採った海藻を取り付けた。
公演回数は過去2年、コロナ前の3分の1に減っており、北岡さんは「コロナで出番がない時も、心と体の準備を続けてきた。いいパフォーマンスを披露したい」と話した。