「未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展」(北國新聞社など主催)は5日、金沢市の国立工芸館で開幕する。日本工芸会・陶芸部会の活動50周年を記念した展覧会となり、歴代の人間国宝、日本芸術院会員の名品から新進作家の最新作まで、石川ゆかりの陶芸家13人を含む137人139点を一堂に展示する。技と美の歩みをたどり陶芸の現在、そして未来を探る。
●部会50周年を記念
日本工芸会・陶芸部会は人間国宝らの声掛けにより1973年に活動が始まった。展示は3部構成となり、第1部では石川で色絵技法を研究し、陶芸分野で初の人間国宝となった富本憲吉氏の壺や、県工業学校(現・県工)で教えた文化勲章受章者、板谷波山氏の花瓶などが展示され、草創期の技を伝える。
美と技の展開を追う第2章では、彩釉(さいゆう)磁器の三代徳田八十吉氏や、釉裏金彩(ゆうりきんさい)の吉田美統氏の飾皿など、産地で伝統の技と向き合ってきた作家の優品を並べる。伝統陶芸に欠かせない茶の湯の器もそろう。
第3章では新たな素材や技術を求め、現代を意識した造形、模様を生み出す若手の作品を中心に並べる。近年注目を集める白磁の多彩な表現や、金襴手(きんらんで)、銀彩による幾何学模様の彩色が次代を感じさせる。会期は6月19日まで。
5月8日午後3時から、県立美術館で白磁人間国宝の前田昭博氏、色絵磁器人間国宝の十四代今泉今右衛門氏の特別対談「伝統陶芸の未来」を開く。