JR磐越西線のSLばんえつ物語号が本年度の定期運行をスタートした。始発の新津駅(新潟市秋葉区)では、黒煙を上げて出発するSLの雄姿を多くの地元住民やファンが見送った。
ばんえつ物語号は1999年に新津-会津若松(福島県)間で運行開始。客車をけん引する蒸気機関車C57-180は46年製造で、「貴婦人」の愛称で親しまれている。
昨年は車両トラブルで故障や遅延が発生。地元では今後の運行が不安視されたが、運行継続のための大規模検査が今秋から実施されることが決まった。
新津駅のホームでは、地元商店主ら「鉄道商店街」のメンバーが石炭をモチーフにした菓子などを販売。待ちわびていた大勢のファンが漆黒の車体にカメラを向け、「頑張れ」「行ってらっしゃい」と手を振った。
家族5人で乗車した新潟市南区の男性(43)は「2年ぶりに乗るので楽しみ」と声を弾ませ、長男(5)は「SLは模型も持っていて大好き。黒くてかっこいい」と笑顔だった。
新津商店街協同組合連合会の野本一郎理事長(66)は「SLは市民の一員。末永く走ってほしい」と願った。
SLは週末を中心に運行する。