国重要無形民俗文化財の城端曳山（ひきやま）祭は５日、南砺市城端地域中心部で３年ぶりに本祭を行い、山町６カ町の絢爛（けんらん）豪華な曳山が「越中の小京都」と呼ばれる町を練り回った。しっとりとした風情で大勢の観光客を魅了した。

　各町の曳山は車輪のきしむ音を響かせながら、ゆっくりと進んだ。曲がり角では曳き手が勢いよく曳山を回転させ、方向転換した。各町の若連中は、茶屋や料亭を模した庵（いおり）屋台で曳山と共に巡った。「所望宿（しょもうやど）」の前に来ると、伝統の庵唄を披露。三味線や篠笛（しのぶえ）が奏でる粋な音色に乗せ、情感豊かにうたい上げた。

　城端曳山祭は城端神明宮の春季祭礼で、約３００年の歴史がある。２０１６年には国連教育科学文化機関（ユネスコ）の無形文化遺産に登録された。新型コロナウイルスの影響で今年は午後からの曳山巡行とし、夜の「提灯（ちょうちん）山」の巡行は行わなかった。