石川護国神社(金沢市石引4丁目)の第4回奉納泣き相撲(北國新聞社後援)は14日、3年ぶりに開かれ、生後6カ月~2歳の赤ちゃん68人の元気な泣き声が境内に響いた。感染症対策で、出場する赤ちゃんを前回から約半数に減らし、対面する「土俵」にはアクリル板も。コロナ下の取組を見守った家族は子や孫の成長を喜んだ。
泣き相撲は戊申(ぼしん)戦争以降の戦没者4万4929柱をまつる同神社が、若い世代に平和の尊さを実感してもらおうと、2018年に初めて企画した。コロナ下のここ2年は中止となっていたが、「今年はやってほしい」との声を受け、感染対策を講じて開催に踏み切った。
赤ちゃんは鉢巻きに赤や青色の法被にまとい、司会者から名字から取った部屋名と名前をもじったしこ名が呼ばれると、母親に抱かれ、拝殿前に設けられた舞台に「土俵入り」した。土俵にはアクリル板が設けられ、赤ちゃん同士の直接の接触を避ける措置が取られた。
テレビ金沢の塚田誉アナウンサーらが行司役を務め、「はっけよい、のこった、のこった」と声を上げると、赤ちゃんは次第に泣きだした。行司は勝敗は決めず、泣きも笑いもしない子に「知らんぷり」、取組が終了してから泣く子には「遅れ泣き」など、ユーモアを交えた決まり手を発表し、会場の笑いを誘った。
市職員の末友雅士さん(35)=金沢市藤江南3丁目=は9カ月になる長女智子ちゃんの取組を見守った。最後まで泣かなかったことから「泣き惜しみ」と判定され、末友さんは「残念だけど、笑顔で元気な子に成長してほしい」と話した。
泣き相撲の前には拝殿で健康祈願のおはらいが行われた。高井良直宮司は「英霊も久しぶりの赤ちゃんの無邪気な声に喜んでいると思う」と述べた。