新潟県柏崎市高柳町岡野町にある国指定名勝の庭園「貞観園」で、普段は入ることができない庭園を、専門家の解説付きで見学できる特別公開が始まった。参加者は、庭園の歴史や造りを学びながら、コケに覆われた風情ある風景に感嘆の声を上げていた。
貞観園は、1673年に松之山(現十日町市)から移住した村山家が代々整備し、1937年に国の名勝に指定された。約8千平方メートルの庭園は、雪深い高柳の気候によって一面にコケが広がり、見どころの一つとなっている。
通常はコケの保護のために庭園の立ち入りはできず、主屋「貞観堂」からしか観賞できない。日本庭園などの良さを伝える「庭屋一如(ていおくいちにょ)研究会」の協力で、庭園を管理する公益財団法人「貞観園保存会」が毎年、日時を限定して特別公開している。
初回となった6月9日は、同研究会主宰の藤井哲郎さん(64)を講師に園内を巡った。藤井さんは、茶人・作庭家として名高い大名、小堀遠州の流れをくんだ庭の造りがみられることや、佐渡の赤玉石を巧みに配置してアクセントにしていることなどを解説。庭の飛び石については「佐渡の鉱山で使われていた臼が転用されています」と語った。
東京都小金井市からの参加者(64)は「山深いところにこんなに素晴らしい庭園があって驚いた。歴代当主の教養の高さを感じた」と話した。
特別公開は6月25日、7月14、23日、9月24日、10月13、22日、11月10日にも行われる。いずれも午前10時、11時半、午後1時半の1日3回で、各回定員15人。参加費は2千円。
申し込み、問い合わせは貞観園保存会、0257(41)2100。