石川ゆかりの陶芸家板谷波山(いたやはざん)の生誕150年を記念した企画展(北國新聞社特別協力)は25日、金沢市の石川県立美術館で開幕した。県工業学校(現・県工高)で教え、陶芸家として初めて文化勲章を受章した波山の代表作115点が展示され、来場者が「陶聖」の美意識と息づかいを感じ取った。
会場には重要文化財「珍果文花瓶」をはじめ、彫刻を施し、薄絹をかぶせたような気品をたたえた「葆光彩磁(ほこうさいじ)」の作品群などが並んだ。波山が亡くなる直前まで制作し、繊細な彫りがうかがえる素焼きの器もあり、来場者が見入った。
波山が陶芸家としての礎を築いた県工業学校時代に制作した花瓶や、妥協を許さなかった波山の試行錯誤の跡が読み取れる陶片など、貴重な資料作品も展示されている。会期は7月24日まで。