福井県小浜市出身の明治時代の歌人、山川登美子にまつわる文芸雑誌や山川家が集めた美術品を展示するコレクション展が7月13日から同市千種1丁目の山川登美子記念館で始まる。登美子の作品を収録した明治文学界を代表する文芸雑誌や所蔵品から登美子が生きた時代の生の史料に触れることができる。9月26日まで。
普段公開していない山川家にまつわる展示物を見てもらおうと、市文化交流課が初めて企画。前期(7月13日~8月15日)と後期(8月17日~9月26日)で展示物を入れ替える。
前期は30点以上を展示する。文芸雑誌「新声」、「文庫」は、登美子が18歳ごろに季節を題材に詠んだ短歌などを収録。登美子の名を有名にした文芸雑誌「明星」では、師・与謝野鉄幹への恋心など自身の素直な気持ちを作品に込めた。収録歌「髪なでて鏡ゆかしむ夜もありぬ夢にや摘まむ挿簪(かざし)しら花」は、夫を結核で亡くした25歳ごろに詠んだ。髪をとかして鏡に映したり、歌仲間から白ユリと呼ばれていた輝かしい時代に思いをはせているのが分かる。
登美子の友人である与謝野晶子の「みだれ髪」、茅野(ちの)雅子の「金沙集」といった歌集も並べて展示。そのほか、山川家に伝わる矢絣(やがすり)柄の夏着物や急須などの銀器もあり、当時の生活や文化を垣間見ることができる。
同館担当者は「登美子が活躍した時代の文学作品や美術品など面白い展示内容。ぜひ足を運んでほしい」と話していた。
午前9時~午後5時(入館は同4時半まで)。火曜休館。大人300円、高校生・大学生200円、中学生以下無料。来場者には登美子の歌を引用したオリジナルのしおりなどをプレゼントする。問い合わせは同館=電話0770(52)3221。