松本市と新潟県糸魚川市を結ぶJR大糸線の全線開通65周年記念イベントが20日、沿線で始まった。JR西日本が運行する南小谷(小谷村)―糸魚川間を中心とした利用客の低迷を背景に、地域交通の見直しが迫られる中で迎えた節目。山あいの南小谷駅では小谷中吹奏楽部の生徒らが音色を奏で、村職員が特産品を配って乗客を歓迎した。
南小谷―糸魚川間では、日本海や北アルプスをあしらった記念ロゴを付けた車両が運行。あいにくの雨だったが、鉄道ファンや親子連れでにぎわった。金沢市の高校2年生で、校内の鉄道研究同好会に所属する室谷壮仁(あきひと)さん(17)は「こうした場所に駅がある風景に驚いた。もし廃線となれば寂しい」とシャッターを切っていた。
イベントは21日まで。白馬駅(白馬村)や信濃大町駅(大町市)でも特産品の振る舞いがある。小谷村は南小谷駅近くでキッチンカーの出店や農作物の販売、大糸線の写真展なども企画し、駅と各会場をつなぐ臨時バスも運行。中村義明村長は「遠方から大勢が来てくれて、鉄道網を生かすことができると実感した。村民の意見を聞き、今後どのように大糸線を守っていくか考えたい」と話した。