地域の地蔵に感謝し子どもの無病息災を願う伝統行事「地蔵盆」が8月23日、福井県小浜市内で営まれた。新型コロナウイルス感染予防のため規模が縮小され、従来のにぎやかさはなかったものの、同市西津地区では3年ぶりに子どもたちが独特なはやし言葉で参拝を呼びかけ、地元住民は目を細めて見守った。
地蔵盆は子どもが主役の伝統行事で、市内では同地区が盛ん。中学2年生までが参加する。毎年20日ごろに地蔵を洗い、カラフルに色付けして"化粧"を施した後、祭壇にまつってササや五色旗を飾り準備する。
同地区では例年なら各町会館や倉庫など約30カ所でまつられ、23日に各所で子どもたちが太鼓や鐘を鳴らして参拝を呼びかける。新型コロナの影響で呼びかけは中止が続いていたが、地域の行事を継承するため、今年は一部で再開した。
同市山王前1丁目のふれあい会館では、参加する子どもを中学生に絞り、1年生と2年生5人ずつが集まった。3年ぶりのため、まずは「なーむじーぞ、だーいぼさーつ(南無地蔵大菩薩)、まいってんのー、まいってんのー」などと特徴的なかけ声やリズムを大人が指導。子どもたちは記憶を呼び起こしながら太鼓や鐘を鳴らした。さい銭は最後に全員に分配されるため、住民が訪れるとうれしそうに顔を見合わせた。
小浜中2年の生徒は「呼びかけは小学5年が最後で、久しぶりなので結構忘れてた」と苦笑い。小浜中1年の生徒は「来年はもっとわいわいやりたい」と期待を込めていた。「宿番」と呼ばれる今年の取り仕切り役を務めた男性は「伝統行事は上から下に申し送って伝えていくことが大事。久しぶりに子どもに参加してもらえて良かった」と話した。