乾杯する利用客たち。ハードサイダーやクラフトビールのタップが並ぶ

乾杯する利用客たち。ハードサイダーやクラフトビールのタップが並ぶ

長野県 伊那路 アウトドア・レジャー

酒にスポット当てたキャンプ場 下條にオープン

信濃毎日新聞(2022年9月15日)

 下條村陽皐(ひさわ)に、酒にスポットを当てたキャンプ場「CAMP&CHEERSKANESHIGE(キャンプアンドチアーズカネシゲ)」がオープンした。果樹農園「カネシゲ農園」から加工部門が独立した株式会社「道」が、醸造した地元産リンゴのハードサイダー(シードル)やクラフトビールを緑の山並みと共に味わってもらおうと運営。県内外の愛好者に人気だ。

 土曜日の日中、首都圏の20~30代の5人グループが、火にかけた霜降りの牛肉を囲んでいた。それぞれが手にするコップの中は炭酸の泡で満ちていた。会社員の菅圭祐さん(34)は「(キャンプ場に)その土地ならではのお酒があるのは魅力」と話した。

 敷地内にはハードサイダーやクラフトビールのタップ(注ぎ口)が六つあり、カフェも併設。爽やかな喉ごしを打ち出したり、黄桃やユズなどと掛け合わせて酸味を感じさせたりと、時季によって入れ替わるラインアップは、ほとんどを自社農園の果実から仕込む。キャンプ場利用者には1杯目は無料でサービスし、2杯目からは税込み700~850円。タップからついでもらい、自分のキャンプサイトで楽しむ人が多い。

 農園は25年ほど前にりんごジュースを作り始め、生産、加工、販売を手がける農業の6次産業化を進めてきた。傷が付いたり虫に食われたりして贈答品にならないリンゴでも「味の良さは変わらない」と加工品に。2015年に「道」を設立。翌年、ハードサイダーの醸造を始めた。

 醸造した酒を提供できる場を設けようと、村親水公園オートキャンプ場の指定管理者に。既存の建物をカフェなどに改装し、今春にオープン。「これだけ快適ならキャンプをしたい」と思ってもらえるよう、従業員の古田健詞さん(36)がシャワーや洋式トイレなどもきれいに整えた。

 初めて迎えた春の大型連休中は、最大100組以上のキャンセル待ちがあったという。夏にはクラフトビールの醸造を始めた。

 「リンゴは捨てるところがない」と古田さん。環境に配慮した取り組みとして、自前の堆肥舎を持つ。りんごジュースの搾りかすやモルトのかすなどを、地元キノコ農家からもらったキノコの菌床のおがくずと混ぜて肥料を作り、農園内で資源を循環させている。農業を「次世代に残していきたい」と話す。

 キャンプ場内には、車が乗り入れできる「オートサイト」、森林に囲まれた「フォレストサイト」、範囲内を自由に使える「フリーサイト」がある。利用料は大人1人で平日2500円、土日祝日は3500円から。問い合わせはキャンプアンドチアーズカネシゲ(電話0260・27・2158)へ。

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