金沢出身の仏教哲学者・鈴木大拙がしたためた未確認の書「乾坤只一人(けんこんただいちにん)」の公開が18日、金沢市本多町3丁目の鈴木大拙館で始まった。旧新竪町小で見つかり、大拙が80代の頃に書いたとみられる。ふるさとの子ども一人一人に気概を持つよう願うような力強い筆致に、来場者が見入った。
「乾坤只一人」は禅語で、「世界でただ一人のみ」の意味。「大拙書」のサインから1950年代前半の作品とみられる。
書軸は大拙の母校、旧本多町小の歴史を受け継ぐ旧新竪町小の校長室に巻かれたままの状態で保管されており、犀桜小への統合の際に見つかった。新竪町小の校長室には、83歳の大拙が母校で講演した際にしたためた「平常心是道(びょうじょうしんこれどう)」の額が掲げられていたが、書軸の伝来は判明していない。同館によると校下住民や卒業生が所有していた品を寄贈したのではないかという。
18日は2011年にオープンした大拙館の開館日で、大拙本人の旧暦の誕生日でもある。同館は書を同日から11月13日まで展示し、情報を募っている。