狛犬が一堂に集まり喜ぶ関係者=11月8日、福井県越前市京町2丁目の千代鶴神社

狛犬が一堂に集まり喜ぶ関係者=11月8日、福井県越前市京町2丁目の千代鶴神社

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刀匠千代鶴の狛犬や刀剣を一堂に 越前市で節目を祝う

福井新聞(2022年11月9日)

 越前打刃物の開祖で14世紀の刀匠の千代鶴国安が彫ったとされる狛犬(こまいぬ)が11月8日、福井県越前市京町2丁目の千代鶴神社に集められた。狛犬は昭和初期に十数体見つかっていたが、時間の経過とともにほとんどが所在不明になっていた。越前打刃物産地協同組合連合会の情報提供呼び掛けにより市内外から続々と集まった狛犬を前に、関係者らが越前打刃物のさらなる発展を願った。

 国安は685年前、刃物製作に適した土地を求めて京都から移り住んだ。刀を作るたび、平和と繁栄を願って砥石(といし)で狛犬を彫り、現在の千代鶴神社敷地内にある池に沈めていたとされる。

 池を保存し国安を祭ろうと1932年、同神社が創建された。この際、池の掃除をしたところ十数体の狛犬と刀剣が発見された。作業に携わった打刃物関係者らに分け与えられたとされるが、3体を除いて行方が分からなくなっていた。

 同連合会は伝承に改めて光を当てようと、今年5月から所在に関する情報を募集。8月までに新たに7体と刀剣が確認された。

 11月8日は、毎年恒例の「ふいご祭り」と、同神社の創建90周年記念事業の一環で行った屋根改修工事の落成式があり、これに合わせ狛犬計10体と刀剣を一堂に集めることにした。

 越前打刃物関係者や所有者33人が出席。狛犬が池の前に横一列に並べられた。出席者はまじまじと観察し「表情やスタイルが一体一体違う」と感慨深そうだった。狛犬所有者の一人で、30数年前に越前打刃物関係者から譲り受けたという80代の男性は「10体並び見事」と話していた。

 同連合会は、国安が越前に移り住んで700年の節目となる2037年に向けた産地プロジェクトを進めており、三好栄事務局長は「越前打刃物には物語性がある。狛犬を一つの素材としてPRしていきたい」と話した。

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