鞠山藩(敦賀藩)酒井家の家紋「丸に剣片喰」が入ったお盆と盃=福井県敦賀市立博物館

鞠山藩(敦賀藩)酒井家の家紋「丸に剣片喰」が入ったお盆と盃=福井県敦賀市立博物館

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鞠山藩酒井家家紋入り「お盆、盃」 敦賀市立博に追加展示

福井新聞(2022年11月14日)

 鞠山藩(敦賀藩)酒井家の家紋「丸に剣片喰(けんかたばみ)」が入ったお盆と盃(さかずき)二つがこのほど、福井県敦賀市立博物館で開かれている特別展「敦賀藩物語」の展示に追加された。1905(明治38)年の鞠山藩陣屋跡での鞠山神社(敦賀市鞠山)創建の中心的役割を担った濱本孫三郎氏に、同家9代当主・忠亮から贈られたもの。本紙記事をきっかけに市内の男性が貸し出した。担当学芸員は「藩がなくなってから30年以上たっても、領主と領民の関係がうかがえるのは興味深い」としている。

 鞠山藩は江戸時代中ごろに誕生した小浜藩の支藩。1869(明治2)年6月から9カ月ほどは公式に「敦賀藩」と呼ばれ、70年9月には小浜藩に合併され、鞠山藩は消滅した。

 貸し出したのは濱本さん。現存するものが確認されていない、同藩消滅時に領民に配布されたとされる家紋がある可能性の高い盃の情報を若狭路文化研究所が求めた11月3日付本紙記事を読み、多仁所長に「自宅に家紋が入った盃がある」と連絡した。

 盃と、家紋が入ったお盆を11月5日に同館で多仁所長と学芸員が確認。お盆が入っていた箱のふたの裏の墨書から、ともに消滅時に配られたものではないが、鞠山神社創建に尽力した濱本さんの先祖である孫三郎氏に忠亮から感謝の気持ちとして1909(明治42)年に贈られたものだと分かった。

 お盆は黒、盃は赤色でともに漆塗り。多仁所長は「濱本家と酒井家の関係性が濃いことを示す物」とし、学芸員は「鞠山藩は小藩で遺物はあまりないため貴重」と話していた。

 特別展最終日の12月4日まで展示される。濱本さんは「みなさんに見てもらい、鞠山藩の歴史に理解を深めてもらえたらうれしい」と期待していた。

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