新潟県燕市で発祥し、新潟5大ラーメンの一つ「背脂ラーメン」のさらなるPRを目指し、燕市観光協会が市内の店舗情報サイト「燕背脂ラーメンMAP」を開設した。職人の胃袋を満たし、地場産業の発展を支えてきた歴史をひもとく冊子も併せて発行。年末年始にふるさとの味を求める帰省客や観光客に向け、太く、長く、濃く、愛され続ける「ソウルフード」を発信する。
背脂ラーメンは伸びにくく、腹持ちの良い極太麺と濃厚なスープ、大量に入った豚の背脂が特徴だ。昭和の初めから、工場で働く従業員の食事として親しまれてきた。地域に根差す食文化の継承と発信を図る目的で、文化庁が創設した「100年フード」に、去年3月、認定されたことを受け、最新情報を周知しようと計画してきた。
中心となったのは、2022年夏から同協会で働く市地域おこし協力隊の井口大史(ともふみ)さん(26)=東京都出身=。2016年に燕商工会議所が作製したラーメン店マップの掲載店をベースに、背脂ラーメンに特化した情報を集め、23店の情報をサイトに掲載した。各店の位置情報や営業時間、一押しメニューに加え、店主の主観に基づく各品の「背脂レベル」を1〜5段階で表示した。
「燕背脂ラーメン 今昔物語」と題した冊子はA5判8ページ。元祖「杭州飯店」3代目店主、徐直幸さんへの取材から、独特のメニューが誕生した背景を紹介している。県外に積極的に出店し、味を広めてきた「酒麺亭 潤」代表、松本潤一さんのインタビューも収録した。計1万3千部作製して掲載店舗や県内外の道の駅、観光施設で配布し、サイトからも閲覧できる。
各店を訪れ、掲載メニューはスープまで飲み干したという井口さん。「歴史を知り、この味に納得した。王道から変わり種まで、さまざまな中から"推し麺"を見つけてほしい」とアピールしている。