新潟県十日町市松之山地域に伝わる小正月の伝統行事「むこ投げ」が15日、松之山温泉街の薬師堂前で行われた。昨年入籍した十日町市内外の新婚夫婦3組が参加。お婿さんが境内から5メートルほど下の雪の斜面へ豪快に放り投げられて転がると、住民らが拍手で祝った。
むこ投げは、地元の娘をよその男性に取られたことへの腹いせで始まったとされ、現在も夫婦の固い絆を願って行われている。
今年は一般公募で選ばれた十日町市の志賀義明さん(29)と春香さん(29)、新潟県魚沼市の田口諒さん(24)と聖子さん(24)、さいたま市の佐藤亜武(あむ)さん(27)と彩希(さき)さん(26)の3夫婦が参加した。春香さんと聖子さんは松之山出身の姉妹。
婿たちは「わっしょい」の掛け声とともに担がれながら薬師堂前へと運ばれ、斜面に放り投げられた。転げ落ちた先で妻がねぎらうように迎えると、会場に笑顔が広がった。さいの神を燃やしてできた灰を塗り合って厄を払った。
志賀義明さんは「直前までどきどきしたが、投げられるのは気持ち良く、痛くなかった」と笑顔。春香さんは「盛大に祝ってもらえてうれしい。常に笑いのある家族にしたい」と喜んだ。