県文化財保護審議会は14日、下諏訪町横町の「下諏訪本陣岩波家住宅」を県宝に指定するよう県教育委員会に答申した。旧中山道下諏訪宿の本陣で、日本庭園と主屋の座敷が「洗練された空間をかたちづくっている」と評価された。
指定されたのは主屋や表門など9棟と日本庭園を含めた敷地(約6600平方メートル)。主屋は過去の調査で江戸時代後期の1801(享和元)年以前に建てられたことが分かっている。住宅は江戸期に大名や公家が泊まり、幕末に江戸に向かう皇女和宮(かずのみや)が宿泊した。
岩波家28代当主の岩波尚宏さん(51)によると、住宅は1月に95歳で亡くなった母・さち子さんが毎朝掃除に励むなど大切に維持してきた。県宝指定の諮問を受けた昨年、さち子さんに「頑張ったね」と伝えると涙を流して喜んだという。岩波さんは「本陣を守ってきた母のためにも守り続けることが私の使命。これから100年、200年と後世に残していきたい」と話した。