夫婦円満などを願い、新婚の花婿に水を浴びせる奇祭「雪中花水祝(はなみずいわい)」が11日、新潟県魚沼市堀之内の八幡宮で行われた。上半身裸の花婿11人が必死の形相で冷たい水に耐える姿に、観客からは祝福の歓声が上がっていた。
江戸時代に鈴木牧之が「北越雪譜」でも紹介している伝統行事。明治時代に入って途絶えたが、1988年に地元商工会の有志らが復活させた。過去2年は新型コロナウイルス禍のため見送られ、3年ぶりの開催となった。
この日は、日が暮れつつある午後5時半過ぎ、クライマックスの「水祝の儀」が始まった。水は元日午前0時にくんだものに、イタドリの花を加えた「花水」が用意された。
11人が1人ずつ雪上の舞台へ上がり、四つんばいになり、背を空に向けて構えると、左右の男性6人が容赦なく水を浴びせかけた。花婿が「冷たい」「ありがとうございました」と声を上げると、大勢の観客から歓声や拍手が湧いた。
昨年5月に結婚した魚沼市堀之内の男性会社員(48)は「地元で生まれ育ったので祭りに参加できてうれしい。水は冷たいというより痛かった。家族で健康に暮らしたい」と、すっきりした表情で話した。