俳優で画家の片岡鶴太郎さん(68)が25日、「流れのままに」と題し、伊那市高遠城址(じょうし)公園の高遠閣で講演した。人生や芸術との向き合い方について語り、県内外から訪れた約130人が聴き入った。
市信州高遠美術館で作品展を開催中の片岡さんは、芸術に目覚めたきっかけはツバキの花だったと紹介。30代後半の2月の早朝、ドラマ撮影に向かうため自宅の玄関を出ると、赤いツバキが目に入った。仕事は忙しいが、鬱々(うつうつ)と過ごしていた当時、凛(りん)と咲く花に「心がきゅっとするような感銘を受けた」。そのツバキを表現しようと絵に挑戦したが、うまく描けない。「自分は不器用だから何回も反復しないといけない」と画力を磨いたという。
今回の展覧会は、ツバキを題材に市内の生け花作家唐木さちさんと合作した作品も展示。登壇した唐木さんが「花はつらい時に心に入る」と述べると、片岡さんも「寂しい時しか感じられないこともあり、寂しさは悪いことばかりじゃない」と語った。