県七尾美術館で29日開幕する長谷川等伯展(北國新聞社特別協力)で、長谷川派の絵師が17世紀に描いたとされる「太閤花見図屏風(たいこうはなみずびょうぶ)」と「南蛮屏風」が七尾で初めて公開される。北陸での公開は珍しい。会場には等伯とその一門の多彩な作品27点が並び、画聖の偉大な足跡を伝える。
「太閤花見図屏風」は豊臣秀吉が最晩年の1598年に行った「醍醐(だいご)の花見」を描いたとされ、樹木の描き方や構図の取り方が等伯の技法を踏襲しているという。「南蛮屏風」はポルトガルやスペインとの港での交易が描かれている。両作品とも縦約1・5メートル、横約3・6メートルの6曲1双で、安土桃山時代の華やかな文化を迫力の筆致で表現している。
今年は「水墨画」と「長谷川派」をテーマとし、国宝「松林図屏風」の複製が展示されるほか、作家安部龍太郎氏が等伯の人生を描いた直木賞受賞作「等伯」の生原稿も展示される。
28日は開会式が行われ、七尾美術財団理事長の茶谷義隆七尾市長があいさつし、佐藤喜典市議会議長が祝辞を述べた。同市天神山小の5年生39人が特別招待され、児童代表の宮下颯君がテープカットに加わった。式典後、関係者約100人が観賞した。
5月28日までで、一般800円、大学生350円、高校生以下は無料となる。29日は開催を記念し、同市4中学校の吹奏楽部が出演する演奏会が開かれる。5月14日には北春千代館長が「壮年時代の長谷川等伯」と題して講演する。