小松市の旧尾小屋鉱山の坑道跡に敷設が進められていたトロッコのレールが24日までに完成した。丸太で囲われ、閉山した1962(昭和37)年当時の趣を残す空間を生かそうと、市と愛好者でつくる「なつかしの尾小屋鉄道を守る会」が作業に取り組んでいた。復活の運行は6月に予定し、関係者は北陸新幹線延伸に向け新たな観光資源にしようと意気込んでいる。
尾小屋鉱山資料館近くにある坑道跡「尾小屋マインロード」は全長約600メートル。今回はこのうち約110メートルにレールを取り付けた。県内外の会員延べ50人が協力し、S字の場所を設けるなど6日間かけて敷設したという。
トロッコには、守る会が所有するバッテリー機関車などを使用。1度に6、7人程度を乗車させることができ、人が歩く程度のスピードで往復させる予定だ。
閉山以来61年ぶりとなる運行再開は6月25日で、現時点では、周辺の市ポッポ汽車展示館の公開日(年5回)に合わせた運転となる見通し。守る会では講習会などを開いて運転士を確保し、運行日数を増やせないかなどを市と協議する。
守る会会長で発起人の坂井稔樹さん(60)は来春の北陸新幹線延伸に合わせ、多くの人が訪れる新たな観光スポットになると期待する。「坑道内を走る鉱山トロッコは全国的にも珍しい。乗り心地は良くないかもしれないが、石になったような気分を味わって、鉱山で栄えた地域の魅力を感じてほしい」と利用を呼びかけている。
乗車には尾小屋鉱山資料館の入館料が必要になる。