徳川家康が家臣の井伊直政に贈った陣羽織が、NHK大河ドラマ「どうする家康」の放送に合わせ、新潟県長岡市の与板歴史民俗資料館(与板町与板)で公開されている。6月26日までの期間限定で、普段は非公開の与板藩・井伊家に伝わる刀や軸なども見ることができる。
陣羽織にはクジャクの尾羽があしらわれており、正式名は「孔雀尾具足陣羽織(くじゃくおぐそくじんばおり)」。本能寺の変(1582年)の後、家康の三河(愛知県)への帰還に大きな功績があったとして、家康が直政に贈ったもので、直政の長男・直勝が受け継いだ。直勝の子孫が転封(国替え)された与板でも、井伊家の家宝として大事にされてきた。1945年に旧与板町に寄贈された。
陣羽織は傷みが進んでいるため普段は非公開となっており、今回は6年ぶりの公開。400年以上の歴史を経て、裾部分の羽が落ちるなどの風化が見られるが、整然と羽が並んでいる。
新潟市西蒲区から訪れた公務員女性(49)は「こんなに多くの羽が使われていて驚いた。本物が見られてよかった」と眺めていた。
会場にはこのほか、普段は非公開のものを含む井伊家伝来の品々約20点がずらり。直政の自署がある「直政御筆」や10代藩主・直安直筆の掛け軸のほか、陣羽織の複製品も並ぶ。資料館の入館料は大人300円、小中学生150円。
会期中の6月17日午後2時からは、よいたコミュニティセンター(与板町与板)で、住民団体「チームわたしのよいた」が主催する講演会も開催される。「どうなった徳川家康と井伊直政」と題し、立命館大学の野田浩子・非常勤講師が語る。先着90人。よいたコミュニティセンター、0258(72)4114に申し込む(平日午前9時〜午後5時半)。