イスラム教を信仰する人たちに石川観光を楽しんでもらおうと、野々市市の人材支援会社が戒律に配慮したツアーの造成に乗りだした。戒律に基づく「ハラル料理」を提供する店を日程に組み込むほか、簡易礼拝キットを貸し出すなどして、石川での滞在時間を安心して過ごすことができる内容とする。同社は海外の拠点でもツアーをアピールして、誘客の増加につなげる。

　ツアーの準備を進めているのは、外国人実習生の受け入れを手掛ける「ＹＯＵ―Ｉ　ＪＡＰＡＮ（ユー・アイ・ジャパン）」。イスラム教では豚肉を食べたり、酒を飲んだりすることが禁じられており、実習生が食事場所や礼拝場を探すことに苦慮していることを知り、ツアーの企画を始めた。

　５月２５日には第１弾のモニターツアーとして実習生に金沢市内を巡ってもらった。参加したのは、インドネシア出身の男女４人で、ガイドがハラル料理を用意できる店を案内し、礼拝時間には同市若松町にある県内唯一のイスラム教礼拝堂「金沢モスク」を訪れた。

　ツアーに参加したチャスリム・ヒダヤトさん（２３）は「日本では礼拝所や食事を探すのは大変。こうしたツアーがあるとイスラム教徒でも旅行を満喫することができる」と笑顔を見せた。

　ユー・アイ・ジャパンは今後、能登と南加賀を回るツアーも予定しており、礼拝所がない場合は、加工紙「金沢からかみ」や加賀友禅をあしらって同社が開発した組み立て式の礼拝ユニットを持ち込むという。

　山田和夫社長は「戒律を守らなければと気にすることなく、石川の観光を楽しんでもらいたい。参加者の意見を取り入れ、よりよいツアーにしていきたい」と話した。