今年上半期(1~6月)に兼六園を訪れた外国人の数は前年同期比38・9%増の25万7659人となり、過去最多を更新した。アジア圏が伸び悩んだ一方、歴史的な円安を追い風に欧州・豪からの入り込みがコロナ禍前の約1・5倍に増え、全体を押し上げた。県は各国の旅行博出展やアンテナ店開設などを通して石川の魅力をPRし、一層のにぎわいを呼び込む。
兼六園の外国人客数は、県内を訪れる外国人観光客数の目安になる。上半期の入園者数は昨年が18万5516人で、これまでの最多は2019年の25万2307人だった。
欧米豪の国別では、米国の2万4026人(前年同期比3・7%増)が最も多く、イタリア1万4850人(61・3%増)、オーストラリア1万4983人(55・6%増)、フランス1万1723人(43・8%増)と続いた。米国以外はいずれも19年同期を上回った。
インバウンド(訪日客)は全国的にも増加傾向にある。政府観光局や県によると、燃料代高騰による航空券代金の値上げ、ロシアのウクライナ侵攻に伴うフライト時間の増加などの影響が懸念されたが、円安の長期化や、日本への直行便が充実したことで、3~5月は国内の訪日客数が月300万人を突破。石川への入り込み増にもつながった。
●中国、香港は半減
一方、アジア圏は伸び悩んでいる。昨年4月に小松―台北便が再開した台湾からの来園者は9万4110人と全体の4割弱を占め、前年同期比76・9%増と回復しているが、19年の10万11人には届かなかった。中国や香港は、中部国際空港(愛知県)の国際線再開の遅れや、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出が影響し、19年の約半数にとどまった。
●地震影響は一時的
月別の外国人客数を見ると、能登半島地震発生直後の1月は19年比25%減、2月は13%減と落ち込んだものの、北陸新幹線が県内全線開業し、観光支援策「北陸応援割」が始まった3月は40%増と急回復した。5、6月も増加しており、県文化観光スポーツ部の担当者は「インバウンドに対する地震の影響は一時的だった」とみている。
県はアジア圏の復調を目指し、17日から香港最大級の旅行博「香港ブックフェア」で北陸新幹線でつながる広域観光の魅力をPRしている。10月下旬にはフランス・パリに欧州初のアンテナ店を期間限定で開設し、県内事業者の販路開拓とともに欧州からのさらなる誘客を図る。
北陸三県と岐阜県白川村は昨年3月、海外富裕層の誘客に関する観光庁の「モデル観光地」に選定された。担当者は「高付加価値な旅行企画を用意し、県内での消費額の向上にも力を入れていきたい」と話した。