福井藩士・橋本左内の生誕190年と、熊本出身の儒学者・横井小楠の福井藩招聘(しょうへい)を縁に始まった福井・熊本両市の姉妹都市提携30周年を記念した特別展「橋本左内と横井小楠」(福井新聞社共催)が7月20日、福井市立郷土歴史博物館で開幕した。幕末維新期をけん引した2人の政治思想家ゆかりの資料が並び、多くの歴史ファンらがその生涯に思いをはせた。
同展では、書簡を中心とした新資料や熊本で保管されている小楠ゆかりの資料など77点を紹介している。
小楠から提案された熊本留学と体調の悪い父親への孝行との板挟みに悩む様子が分かる左内の自筆書簡や、小楠が暗殺されたときに刺客と斬り結んだ際の刃こぼれがある短刀、福井藩主松平春嶽が藩校明道館の改革のため熊本藩主に宛てた小楠の来福を懇願する4メートルを超える書簡など、福井初公開の資料が並んでいる。
会場には熊本市横井小楠記念館から借りた、小楠の足跡や人となりを解説した漫画パネルも。関連展示コーナーでは、クラウドファンディングを使って昨年修復した左内ゆかりの書簡11点を紹介している。
福井市の会社員は「2人とも名前しか知らなかった。左内の手紙から今の若者と変わらない悩みを持っていたことが分かり、親しみがもてた」と話していた。
9月1日まで(会期中無休)。一般700円、高校大学生500円、中学生以下、70歳以上、障害者と介助者は無料。福井市立郷土歴史博物館=電話0776(21)0489。