下伊那郡阿南町新野で14日夜、約500年の歴史があるとされる「新野の盆踊(ぼんおどり)」(国重要無形民俗文化財)が始まった。時折雨が降る中、色とりどりのちょうちんの明かりに照らされながら、浴衣姿の住民らがゆったりと踊った。盆踊は17日朝まで3晩、夜通しで続く。
午後9時過ぎ、新野地区中心部の通りに設けられたやぐらに「音頭取り」が上って盆唄を歌い出すと、住民らが輪になって踊り始めた。笛や太鼓などの鳴り物を使わないのが特徴で、扇子を手にした住民らは盆唄を口ずさみながら踊り、次第に観光客も加わって輪は大きくなっていった。
新野の盆踊は「風流(ふりゅう)踊」の一つとして2022年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。同地区在住の下平かづ子さん(52)は孫らと参加。「春先から盆踊りを楽しみにし、この時季には家の中で誰かしらが盆唄を口ずさんでいる。孫にも伝えていきたい」と話した。