福井県あわら市のあわら温泉3旅館と旅館協同組合が、同温泉をモチーフにしたご当地2次元キャラクター「芦原小梅」を活用した誘客に取り組んでいる。特別な部屋、缶バッジやタオルなどのグッズ、旅館それぞれ異なるパネルを用意し、県内外のファンを呼び込むのが狙い。北陸新幹線県内開業で来やすくなった関東圏にもアピールし「もっと温泉街を盛り上げたい」としている。
芦原小梅は、全国の温泉地をモチーフにし、観光地の魅力を発信する地域活性化プロジェクト「温泉むすめ」のキャラクター。エンバウンド(東京)が観光庁の後援を受けて全国展開している。
小梅は黒髪できりっとした目つきが特徴で公式ホームページによると、身長154センチ。好物は越前がに、トマト、メロンで自尊心が少し高く「上から目線」なところもあるという。
3旅館は「清風荘」「白和荘」「長谷川」。昨春に開業した芦原温泉駅西口「アフレア」の記念イベントで小梅グッズ販売が好評だったことからプロジェクトに参加した。
清風荘では、小梅の声を担当する声優の相良茉優さんを招いたバスツアーを実施。約50人が参加し大本山永平寺(永平寺町)や東尋坊(坂井市)などを巡り盛り上がった。
白和荘は小梅グッズを配置したコンセプトルーム(現在休止、秋ごろ再開予定)を整備した。ロビーには小梅や相良さんのグッズを並べた"祭壇"を設置。販売するグッズに加え、お客さんが"奉納"したほかの温泉むすめグッズを飾っている。旅館スタッフは「コンセプトルームの利用客は10~60代と客層が幅広い。グッズを買いに来るだけの人もいて、新しいお客さまとの出会いもある」と手応えを感じている。
各旅館では異なるデザインの缶バッジや法被、マフラータオル、手提げバッグなど販売。長谷川も7月から各種グッズを旅館内に並べ、コンセプトルームの宿泊予約の受け付けを近く始めるという。
小梅パネルのデザインも各旅館で違う。清風荘は恐竜のぬいぐるみが顔を出すバッグを手にし、白和荘はピンク色の愛らしい浴衣姿で、温泉旅館の女将(おかみ)らが開発に取り組んだ酒ともコラボさせた。長谷川は2種類あり、十二単(ひとえ)をまとい、傘を差してポーズをとる。
旅館ごとにグッズ、パネルのデザインが違うのは「温泉街を周遊してもらいたいから」と旅館スタッフ。旅館ごとに客層は異なり差別化できているといい「さらに多くの旅館で(小梅を)取り入れてもらえるよう、声をかけ続けたい」と話す。