新潟県佐渡市の最北端・鷲崎にある「佐渡二ツ亀ビューホテル」が新たな企画を次々に打ち出している。佐渡金山の世界遺産登録のタイミングを活用し、リピーター獲得につなげたい考えだ。9月上旬からは、鷲崎漁港で取れたての地魚を味わう宿泊プラン「鷲崎漁港 朝穫(ど)れ朝食」の販売をスタート。星空観賞会やシーカヤックなどを楽しむプランも始めており、立地を生かした企画で差別化を図る。
景勝地「二ツ亀」を見下ろす高台にあるホテルは、ウッドデッキテラスの新設や客室改装などで3月にリニューアルオープンした。これを機に冬季も含めた通年営業に転換し、ランチ営業復活など需要の掘り起こしに力を入れている。
9月11日宿泊分から予約を受け付ける「朝穫れ朝食」(1泊2食付き大人2人3万円前後)では、ホテルから車で数分の鷲崎漁港を見学後、地元の集会施設で取れたての地魚を味わう。
7月下旬に行われたモニター体験では、朝取れたてのヒラマサをはじめ、タイやアジ、タコの4種類のお造りが出された。鷲崎産米のおにぎりに、ナガモのみそ汁、ヤリイカの煮物などが並んだ。調理人がこの時季の魚の特徴や鷲崎の概要を説明する場面もあった。
夫婦で佐渡を訪れた福島県いわき市の男性(76)は「珍しい企画で大満足」と笑顔。会社の仲間と参加した石川県輪島市の会社員(36)は「特別な体験で心に残ります」と満足そうだった。
今夏は宿泊者対象のシーカヤック体験や、星空観賞会付きのプランも本格的に受け付けを開始。地元住民の協力を得て、鬼太鼓や佐渡おけさの上演も行う予定だ。
渡辺幸計社長は「来て泊まって終わりではなく、立地を生かした参加型の非日常を味わう体験を用意して、差別化を図っていきたい」と強調。「世界遺産登録のタイミングを生かし、リピーターや佐渡ファンを獲得したい」と話している。