富山県氷見市早借の古民家を活用したテイクアウト専門の焼き菓子店「里山工房FICO(フィーコ)」が、店内で食事ができるイートインスペースを設けた。能登半島地震を経て、人とのつながりを深める場の大切さを改めて感じた店主の廣田秀美さん(63)は「訪れた人や地域の人がくつろげる空間にしたい」と話す。
焼き菓子店は実家の一部を改装して2020年にオープン。夫の武さん(67)や姉の鎌仲富美恵さん(65)の協力を得ながら、地元・速川地区特産のサツマイモや自家栽培のイチジクなどを使ったスイーツを提供している。
地震では断水の影響で一時休業を余儀なくされ、再開したのは1月中旬だった。
地震で不安に感じている人が多い中、「ここに来ると元気になる」などの声を聞き、以前から考えていたイートインスペースをつくる思いが強くなった。
地震被害の修繕に合わせ、玄関などを改修し、里山の景色が眺められるカウンター席を設置、広間にテーブル席と親子がくつろげるローテーブル席を配置した。張り出し屋根を設け、テイクアウトの客が順番を待つ間、日差しや雨をしのげるようにした。
廣田さんは「誰でも気軽に足を運んでもらえる店にしていきたい」と話している。