福井県越前市は、同市ゆかりの紫式部が主人公の大河ドラマ「光る君へ」を生かした観光誘客について、7月末時点の中間成果を8月27日までにまとめた。式部関連3施設の観光客は28万人増え、観光消費額15億円分の効果があったと推計した。誘客に取り組む紫式部プロジェクト推進協議会の2023~24年度の事業費見込みは計約5億3千万円。市は「県外客が多く訪れており、観光消費の大きな伸びにつながっている」とみている。
観光客は、22年の市紫式部公園と市紫ゆかりの館の入り込み数約8万9千人を基準とした増加分を算出した。増加分は23年が約6万7千人、24年は2月開設の大河ドラマ館(しきぶきぶんミュージアム)と合わせて約21万6千人だった。施設別の増加分は紫式部公園が約14万6千人、紫ゆかりの館が約6万1千人で、大河ドラマ館には約7万5千人が来場した。
観光消費額は、県調査の日帰り消費額を基に試算。大河ドラマ館の来場状況から、増加した観光客の内訳を県内客(1人当たり3256円)3割、県外客(同6279円)7割ととらえて算出した結果、消費額は約15億1千万円と推計された。
越前市ロケなどの関連番組、吉高由里子さんら出演者のSNS投稿、同市発Vチューバーのメディア露出による1~7月の情報発信は、広告換算値で約25億円の効果があったとする調査結果も示した。
推進協による大河ドラマ館の開設・運営やパブリックビューイング開催など各種プロモーションの事業費は、23年度が約2億9千万円、24年度見込みは約2億3千万円。ふるさと納税の寄付を含む市負担金約4億1千万円、県負担金5千万円、同館入場料などの事業収入が充てられている。
大河ドラマ館の開設期間(12月30日まで)の折り返しに合わせ、27日の市会全員説明会で中間報告した。市ブランド戦略課は「越前編の放送で6月以降は、大河ドラマ館来場者が3割程度伸びている。秋はたけふ菊人形との相乗効果も狙っていきたい」としている。