ワシ・タカ類の渡りの観察地として知られる松本市奈川の白樺峠「たか見の広場」で14日、観察会が開かれた。渡り鳥が見られるシーズンが本格化する前に、地元住民でつくる会社「ふるさと奈川」が企画。市内外の10人が参加し、タカ科のハチクマやサシバが雄大に空を舞う姿をじっくりと楽しんだ。
広場の標高は1700メートルほど。同社が草刈りを手伝った縁で観察会を企画した。広場の管理を担う「信州ワシタカ類渡り調査研究グループ」のメンバー、中村照男さん(73)=池田町=が、3千メートル級の北アルプスを越えられない鳥が上昇気流を求めて白樺峠に集まると説明。「上昇気流が出てくると、すぐに高く飛んでいく」などと解説した。
中村さんによると、例年この時季は千羽程度観察できるが、この日は数が少なく「あまり渡りが始まった感じがしない」。ただ時折、ハチクマが空を舞うと、参加者は双眼鏡をのぞきながら熱心に追いかけ、ゆっくりと旋回する様子に見入っていた。
松本市島内から参加した井出峯子さん(82)はハチクマを見て「鳥は国境もなく、自由自在に動ける。こんな大空を飛ぶなんて、本当にうらやましい」と感動していた。
白樺峠で渡り鳥が見られるのは10月末ごろまで。